脳梗塞の治療。そろそろ他人事ではないこの病気で知っておくべきこと

脳梗塞の治療。そろそろ他人事ではないこの病気で知っておくべきこと
cerebral-infarction 脳梗塞の治療。そろそろ他人事ではないこの病気で知っておくべきこと
脳梗塞は怖い病気。普段の生活習慣に気をつけていないと突然襲ってくる

脳梗塞は、命が助かっても、後遺症を残しやすく、介護が必要となることが多い脳の疾患です。早期発見と、素早い治療が、予後を大きく左右します。特に、超急性期の治療では、内科的治療のみで機能回復が期待できます。

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脳梗塞とはどんな病気か?

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液が行かなくなり、脳細胞に栄養が届かないために脳の組織が壊れてしまうことです。血管が詰まった箇所と、血液の流れは保たれていますが、脳機能が停止してしているペナンブラという箇所があります。血液の流れが上手くいかないと、ペナンブラの機能回復がどんどん悪くなります。

治療で重要なのは、ペナンブラの機能回復を出来るだけ早くすることです。機能低下が、血管の詰まったところだけであれば、脳障害は最小限ですみます。発症3時間以内の超急性期の治療が、大切になります。

2005年に、tPAと呼ばれる脳梗塞の治療のための薬が、日本で認可されました。tPAは、血の塊を溶かす薬です。発症から3時間以内の脳梗塞は、tPAを点滴することによって、血の塊を溶かし、脳血管の詰まりを解消します。

t-PA静脈療法のポイントは、「発症後3時間以内」ということです。3時間を少しでも過ぎると、薬の有効性がなくなるといわれています。脳梗塞が疑わしい症状が現れたら、素早く専門病院へ行くことが重要です。

しかし、診断を受けるまでのロスタイムがあるので、発症1時間から2時間の内に専門病院へ行く必要があります。脳梗塞のリスク因子のある人は、日頃から体調の変化に注意して、何かいつもと違うと感じたら迷わずに医師に診てもらいましょう。早期発見することで、症状が軽くて済むことになります。

 

脳梗塞の急性期の治療

高血圧治療の普及により、近年、致死的な脳梗塞が減少しつつあります。しかし、脳梗塞における脳血管障害は、片麻痺などの後遺症が残るため、介護が必要となる原因疾患のトップです。脳梗塞での死亡や後遺症を出来る限り避けるため、急性期の治療は一刻を争うことになります。

脳梗塞の急性期の脳は、血管の詰まりによって、脳細胞が瀕死の状態ですそのため、脳梗塞の急性期における治療では、いかに脳細胞を壊死させないで防ぐかが重要になります。急性期の治療の如何によって、後遺症の軽重差に影響します。

脳梗塞の発症から1週間から2週間を急性期と呼びます。急性期は、時間の経過とともに、多くの脳細胞が死んでいきます。しかし、脳梗塞を起こしている周囲には、機能は停止していますが、まだ死んでいないペナングラという細胞があります。したがって、ペナンブラを助けて、脳の障害が最小限で済むようにします。

急性期は、薬剤の点滴や注射など内科的な治療が中心となります。血栓を溶かす薬、脳を守る薬、脳のむくみを抑える薬、血液の凝固を抑える薬剤を使って、症状の軽減および発症を抑えます。そして、入院3日あたりからベッドに座る訓練を始めます。7日目ぐらいから歩行訓練や言語療法を行い、14日から21日頃を目安に独歩できるようにしていきます。

以前は、脳梗塞といえば治りにくい病気とされていました。しかし、現在では、発症から数時間以内に治療が開始されれば、治すことが可能な疾病になりつつあります。脳梗塞が疑わしい症状がある場合は、速やかに脳外科や神経内科のある大きな病院への受診をお薦め致します。

 

慢性期の脳梗塞の治療

脳細胞は一度死んでしまうと、現代の医学では二度と生き返らせることはできません。したがって、一度失ってしまった機能が、再び回復することもありません。生き残った脳細胞で、脳梗塞後の生活を送っていかなければなりません。そこで、大切になのが、慢性期の脳梗塞の治療です。

脳梗塞を出来得る範囲で解消し、2次障害や出血の危険も去り、損傷を受けた脳細胞の範囲が確定したら、脳梗塞の治療は、慢性期の対応となります。脳梗塞そのものは、急性期の適切な治療で短期間に治癒します。脳梗塞によって受けた損害の症状は、長期にわたって付き合う必要があります。慢性期の治療は、リハビリテーションと再発防止が主となります。

リハビリは、脳神経学的な観点からと、日常生活に順化する点を重視して行われます。リハビリにより、損傷した部分の脳機能を別の箇所で代替できるようにします。また、身体の動かなくなってしまった部分を、正常に動く部分でどのように補っていくかを訓練の中で蓄積していきます。

再発を防止には、薬物療法と血管治療が行われます。血栓の発生を防ぐ薬や、血液循環を良くする薬などを使って、血をサラサラの状態にします。また、脳梗塞の一番の原因といわれている動脈硬化を防ぐために、外科的治療を施す場合もあります。

脳梗塞を患うと、脳機能を失うことが多いです。発症前は、当たり前に思っていた行動が上手くできなくなります。辛い状況を悲観して、慢性期の治療に積極的になれない人も多いようです。しかし、残された機能を鍛えることによって、不便はあっても生活の質は向上するので、頑張ることが大切です。

 

新しい脳梗塞の治療

比較的新しい脳梗塞の治療に、血栓溶解療法(t-PA療法)というものがあります。t-PA療法は、脳梗塞の治療の中では、特殊な方法のひとつです。脳梗塞を発症したら、直ぐにt-PA療法の治療を受ければ、劇的に回復する可能性があります。

t-PA療法は、超急性期に優先的に行われる治療です。脳梗塞を起こしている血栓を溶かして、梗塞している部分に血流を復活させることを目的としています。血管閉塞の原因となった血栓を溶解する薬剤であるt‐PAが、2005年に認可を受けてから日本でも行われるようになりました。

脳梗塞を発症して3時間以内に、t-PAを約1時間かけて、静脈内に点滴し治療を行います。動脈が血栓によって詰まってから間もないうちに、t‐PAを使って血液の流れを回復させると、脳細胞が死なずに済むようです。脳梗塞を発症したにもかかわらず、実質のダメージ無しで回復するケースもあるようです。

しかし、t-PA療法は、適用するためのハードルが高いという問題があります。まず、脳が虚血状態に陥ってから脳細胞が破壊されるまでの3時間の間に治療を行わないと、効果がでないという点です。また、全ての患者さんにt-PA療法が使えるわけではないという点です。

脳梗塞の原因は、動脈硬化であることが多いです。したがって、動脈硬化の持病を持っている人は、日頃から身体の変化に気をつけることが大切です。麻痺やしびれなどが発生した場合は、直ぐに専門病院を受診し、早期に病気を発見してもらうことが、t-PA療法を受けるチャンスを逃さないコツといえます。

 

脳梗塞の再発を防ぐ治療

脳梗塞を発症してから、1年間は、再発に注意をしなければいけません。再発すると、初めて脳梗塞を発症したときの症状よりも著しく重くなることが多いためです。場合によっては、痴呆が現れることもあります。そのため、再発を防ぐ治療が、必要不可欠となります。

脳梗塞を引き起こす原因は、血の塊である血栓が、脳内の血流を止めてしますことです。そこで行われる治療が、抗血小板療法です。抗血小板療法は、原因となる血栓を作らなようにするため、血小板の凝集作用を低下させる治療方法です。

血小板は、血液成分のひとつで、怪我をした時などに、傷口に集まって固まり、出血を止める作用があります(凝集作用)。しかし、血小板の凝集作用が強まると、血管の中に血の塊である血栓を作ってしまいます。血栓が、脳の血管で詰まると脳梗塞の原因となります。

再発防止のために行われる治療は、原因や脳梗塞の種類によって違います。抗血小板療法の治療の適用になるのは、心疾患をともなわない非心原性脳梗塞です。使われる抗血小板薬は、急性期にはオザグレルナトリウムというものを使います。慢性期においては、アスピリンが良く用いられます。

血の塊である血栓を作らせないための治療は、脳梗塞の発症から48時間以内に行われることが大切です。抗血小板薬は、経口薬です。薬の服用を途中で止めてしまうと、再発の原因となってしまいます。医師の処方に従て、正しい用法で薬を飲むことが再発防止に重要なポイントとなります

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脳梗塞の治療でも活性酸素を抑えるのは重要

最近は、活性酸素、または、フリーラジカルという言葉を化粧品なの広告で目にします。活性酸素は、シミやシワを生成するものとして、知っている方も多いと思います。この活性酸素が、脳梗塞を発症した際に、脳に大きな影響を与えているということをご存じでしょうか。

活性酸素は、細胞が傷ついた時に、損害を受けた細胞から放出される活性因子です。イオンよりも活性度が高く、生細胞を完全に破壊してしまうこともあります。細胞によっては、危険な存在ともいえます。

脳梗塞を発症し、脳細胞がダメージを受けた場合、活性酸素は、損害を受けた周りの脳細胞に影響を与えます。脳梗塞による被害をより拡大させ、虚血状態から48時間後に脳細胞が死ぬ「遅発性神経細胞死」という現象を引き起こします。脳は、常に活発に働いており、また、常に血液と酸素の潤沢な供給をしているため、活性酸素からのダメージを受けやすいという状況があります。

脳梗塞による遅発性神経細胞死を局限するために、活性酸素除去剤を使用して、活性酸素の悪影響を抑える脳保護療法の治療が必要になります。脳保護療法の治療を受けることによって、脳の障害を防ぐことが可能となります。さらに、脳梗塞の後遺症の軽減にも期待が持てます。

脳保護療法は、発症後24時間以内に行われる治療です。急性期における他の治療と同時並行で行われることが多いです。現在は、脳に発生したフリーラジカルの量を計測して、活性酸素除去剤の使用量を患者さんに合わせて使えるための研究が進んでいるそうです。研究が成功すれば、今よりも一層質の高い治療を受けられると期待されています。

むくみ治療で脳梗塞による新たな障害を防ぐ

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脳梗塞を発症し、梗塞部分の脳細胞が壊死してくると、その周辺に水がたまり、「脳浮腫」と呼ばれるむくみが生じます。脳浮腫は、正常な脳を圧迫して、新たな脳細胞を破壊します。脳細胞が破壊されると、様々な脳機能障害の原因となります。脳浮腫を軽減するために、抗脳浮腫薬を使った治療を行います。

脳は、頭蓋骨という閉塞した環境に存在しています。脳梗塞によって脳浮腫が起きると、脳の体積が増大します。頭蓋内圧が亢進し、脳の血流を低下させ脳低酸素状態を引き起こして、脳浮腫を憎悪させます。脳浮腫の治療をせずに放置すると、脳幹の圧迫や、脳ヘルニアといった重篤な症状を引き起こし、死に至る危険があります。

脳浮腫は、脳梗塞を発症してから数時間後から始まります。そして、3日から4日でピークに達します。したがって、治療は、脳梗塞の急性期から開始されます。

危険な脳浮腫を防ぐためには、内科的・外科的両方の治療があります。内科的な治療では、ステロイド療法や抗脳浮腫薬であるグリセロール、マンニトールといった高浸透液を点滴します。緊急の場合であれば、開頭手術によて頭蓋骨の一部を取り外し、頭蓋内圧力を逃がすこともします。

脳梗塞の治療の目的は、梗塞によって損害を受ける脳のダメージを最小限に抑えることです。したがって、脳浮腫の治療でも、脳ダメージを最小限に抑えることと、新たな障害を防ぐために、早い時期から開始されます。しかし、抗脳浮腫薬は、心臓や腎臓に負担をかけるため、心臓や腎臓に疾患がある人や高齢者には行われないということは、気に留めておく必要があります。

 

治療の必要のない隠れた脳梗塞

脳梗塞は、脳の動脈が血栓によって詰まってしまい、脳細胞に血液が行かなくなり、細胞に損傷を受ける状態です。一方、典型的な症状はないけれど、数ミリ程度の小さな梗塞が出現する状態があります。放って置くと本格的な脳梗塞になる可能性もあるため、隠れ脳梗塞と呼ばれています。

CTやMRIなどの医療検査機器の向上により、以前では発見できなかった毛細血管の血栓の詰まりがわかるようになりました。しかし、麻痺や痺れといった症状を自覚することは、ほとんどありません。また、自覚したとしても短時間で症状が消失するという特徴があります。

脳梗塞では、発症すると直ちに治療を開始します。ところが、隠れ脳梗塞は、現在の医療では、病気としてのきちんとした位置づけがされていません。そのため、現段階では、治療方法が確立されていません。したがって、治療はせずに、経過観察といういうのが一般的です。

隠れ脳梗塞のある人は、ない人に比べて本格的な脳梗塞になりやすいということが分かっているようです。高血圧症・糖尿病の人や過度なストレスを抱えている人は、血管を傷つけやすく血栓ができやすいリスクがあります。また、脂肪分の多い食事は、血液をドロドロにして血管を詰まり易い状態にします。

したがって、治療の必要はなくても、症状を悪化させないために、予防をすることは必要です。高血圧や糖尿病の治療をしっかりして、血栓のリスクを低くして置くことは大切です。また、脳ドックなどで自分の脳の状況を早期に把握するようにしましょう。そして、食生活や運動、睡眠などの生活習慣を少しずつ改善していくのが良いでしょう。

急性期の脳梗塞のリハビリ治療

脳梗塞が起こると、身体の機能に様々な障害が現れます。程度の差はありますが、身体の機能障害が後遺症となり、日常生活に影響を及ぼします。そのため、脳梗塞の治療を行いながら、障害された機能の回復を目指すリハビリの治療をしていきます。リハビリの治療は、出来る限り早く始めることが大切です。

脳梗塞の治療で、ベッドに寝て安静にしている状態が長く続くと、廃用症候群になります。廃用症候群とは、筋肉が痩せ、関節が固まって動かしく難くなるという症状です。脳梗塞の治療が終了し、身体を動かそうとしても動かすことが難しくなります。廃用症候群になると、感染症にも掛かり易くなります。

廃用症候群を避けるために、脳梗塞のリハビリの治療は、急性期の出来る限り早い時期に行う必要があります。急性期とは、脳梗塞を発症したから1週間から2週間ぐらいの期間です。脳梗塞を発症後、重大な合併症がなければ、入院当日からベッドサイドでリハビリを行うこともあります。

リハビリ治療は、手足を正しい位置に保つ「良肢位保持」、手足の関節を動かして関節や筋肉が固まって動かなくならないようにする「関節可動域訓練」、床ずれを防ぐ「体位変換」などです。病状が落ち着いてきたら、座る姿勢を保つ訓練、飲食物を飲み込む訓練などを行います。これらのリハビリの治療は、一般に、入院先の病院で行われます。

専門家の指示のもと、急性期にリハビリを行うことによって、退院時、日常の動作や行為への適応が早くなります。また、後遺症からの回復も早くなります。急性期のリハビリは、辛いことも多いですが、出来る限り頑張ることが良いようです。

 

回復期の脳梗塞のリハビリ治療

脳梗塞の症状には、半身麻痺や言語障害などがあります。適切な治療を受けていないと、後々まで症状が残ってしまいます。後遺症あると、今まで出来ていた普通の日常生活の行動がスムーズに出来なくなります。このような事態を避けるために、脳梗塞の回復期に行うリハビリの治療は、非常に大切にです。

脳梗塞を発症してから急性期のリハビリ治療が、始まります。個人差はありますが、リハビリを始めてから、およそ2週間ほどたつと脳梗塞の症状がある程度落ち着いてきます。急性期のリハビリにより、ベッドから離れることができるようになったら、回復期におけるリハビリの治療に入ります。

回復期のリハビリでは、日常生活で必要になる基本動作の訓練を行います。リハビリを始める前に、患者さんの症状や状態をチェックするスクリーニングがあります。スクリーニングでは、意識障害・感覚障害・運動障害の程度や関節の曲り具合などをチェックします。スクリーニングチェックで特に問題がなげれば、回復期のリハビリ治療へと移行します。

回復期のリハビリは、リハビリテーション専門の病院などへ移って行います。理学療法士・作業療法士・言語療法士などの専門家によって、スクリーニングチェックのデータをもとに、個人個人にあったリハビリが開始します。

脳梗塞での後遺症の程度や回復具合によって、日常生活での動作ができる範囲が異なります。しかし、回復期のリハビリの治療は、後遺症が残っていても、その中で日常生活ができることを目指して行われます。生活の質の向上のためにも、回復期のリハビリは大切となります。アキレス腱周囲炎と気が付いたら、しっかりとケアを行っていきましょう。

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