キックボクシングの試合は過酷です。自分を倒しに来る相手を倒しに行かなければいけない。死に物狂いの相手というのはパンチやキックが当たってもなかなか倒れない。しぶといです(笑)
ガッツリとパンチをあててもローを効かせても、ダラダラと前に出てきてキレの悪い “押すパンチ” や組み付いての効かない膝をチョコチョコ出すような “泥仕合製造マシン” みたいな選手を相手にしたらなおさら疲れさせられます。
自分の持ち味を出せずに、「本戦ドローのエキストララウンド」なんてやる気を無くしちゃいます(笑
そうならないためにも、ここでは「キックボクサーがやるべき試合前のトレーニング」の例とコンセプトを紹介します。
普通に練習していては「自分の距離で戦う」なんてできるわけがない
キックボクシングの試合では、隙あらばどんどん前に詰めてくる相手には、いかに自分の距離・リズムを確保して戦いやすく戦うか。
これがスタミナのロスをなくし、最後まで自分に優位なリズムをキープするために必要なことです。
しかし、思うようにいかないのが試合。自分のイメージ通りに試合展開が出来た時の方が少ないくらいです。
どうすればいいか?
答えは、”スタミナが完全に切れて動けない状態からでもキレのいい攻撃を自分から出せる練習をする”です。
???
意味不明でしょうか?
疲れきっていても、リズミカルに動いていると力をこめなくてもキレ良くパンチや蹴りは出せるものです。
ただ、これは練習により可能になる動きです。
「動けなくなってから動く。」練習をすること。
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スタミナをどうやりくりするか?
スタミナ切れていたら動けないだろう?と思いますよね。でも、これは訓練で可能です。
100ある体力のうち、もう動けなくなり棒立ちになっているのが余力30の状態。
ほとんどスタミナがない。でも、立つことはできている。立っていられるスタミナがあるならそれを上手く使えば、相手を倒すことは可能です。
このわずかに残った30を効率よく使う「余力マネージメント」がプロの試合の練習の課題です。
他でもやっているかどうかわかりませんが、私たちのジムでの練習の一部を紹介します。
キックボクシングの試合前の「バカになるトレーニング例」
試合前の強化練習の際は、ミット打ちとサーキットトレーニングを組み合わせたトレーニングを行い、スパーリングの際にはインターバルでは、膝抱え込みジャンプと相撲をやります。(インターバルじゃないだろう?と突っ込まれそうですが。早く回数をこなせば残った時間少し休める)
そして、事前疲労させておいた状態からスパーリング開始。この時も3人のイキのいいのが1分ずつ交代で疲れ切っている主役を攻め立てます。×10ラウンド。その後に、シッカリ休憩を取って疲れたなりにも体力を回復させてから、スパーリングを3ラウンドから5ラウンド行う。
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この時はインターバルで少し回復したとはいえ、相当スタミナがなくなっています。
ここでは、下記を意識して行う集中力がポイント。
- 「疲れてても距離を取ってタイミングを待つ」
- 「隙を見て一気に詰める」この繰り返しのタイミングを測る練習を行う。
この辺になると余力10くらいでしょうか。
- ここで相手にうまく反応できるか?
- 相手に向かって自分から突っ込めるか?
これをテーマに動きの切り替えの練習。
試合を控えた選手は若手に攻めまくられるという屈辱を味わいながらも、力を盛り返してきます。ある意味頭がおかしくならないとだめです。通常、目一杯動いているつもりでもどこかで「これ以上行くとスタミナが・・・」とブロックをかけているものです。このブロックを外さないといけません。
気が狂ったくらい本能で動くようになるトコトン追い込むのがこの練習の狙い。
そこで、
- 「無駄をなくしたフォーム」を身に付けます。
- 自分の「安全距離を自然に測れる」ようになります。
この練習を繰り返して余力マネージメントがウマくなり、「動けなくなった状態からでも自分から動ける」カラダが出来上がります。
もちろん、練習はこれだけではありません。これは、試合に臨むにあたってスタミナをまったく気にしなくてもいいようになるための体作りです。技術練習に関してはまた別の機会に紹介します。
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